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現場発!産学官民連携の地域力

関西ネットワークシステム(著)

 

現場 現場発! 産学官民連携の地域力 出版プロジェクトに参加して

 ちょうど一年前の連休中に、KNS(関西ネットワークシステム)の堂野智史さんから、メールを頂いたのが、その始まりである。昨年のINSの総会講演会のとき、詳しい話を伺い、小野寺純治が「岩手ネットワークシステム(INS)の活動と岩手モデルの波及」、そして今井潤が「地方大学の産学連携と産学官民コミュニティ」という題で分担執筆することとなりました。

 産学官連携の現場の最前線で活動している執筆者が書くことで、その熱い思いをこの本に込めて書こうということが、共通の目標となっており、とても良いものができあがったと思います。

 学芸出版社のご理解を頂き、下記にその内容の概略を記載させて頂きます。是非、成書方もご一読頂ければと思います。

現場発! 産学官民連携の地域力

関西ネットワークシステム編

学芸出版社 2011年3月発行、四六判・240頁・本体2200円 ISBN978-4-7615-2504-0

 

 

岩手ネットワークシステム(INS)の活動と岩手モデルの波及 

小野寺純治(INS運営委員)

 

INSの発足まで

「自然発生的な産学官の若手?たちの「飲み会」による出会い」として、今から四半世紀ほど前の1987年(昭和62年)頃、30代から40代前半の大学教員や岩手県職員などが岩手県盛岡市の場末の居酒屋に集まり、酔いに任せて「うちの教授、だめだよね」、「うちの課長だめだよね」などの愚痴を語ったところからINSがスタートしたのだが、その背景としての当時の社会経済情勢、地方自治体としての岩手県の取組、岩手県唯一の国立大学としての岩手大学の若手教官の思いなどを綴りました。

INSの特徴

INSの最大の特徴の一つに、「組織や肩書きに縛られない自由な交流」として、土曜日の午後を主な活動時間とし、参加者は、ネクタイとともに組織という裃を脱ぎ、自らの組織をも客観視しながら組織での知見を踏まえた個人の意見を積極的に交換している状況を、私の体験も含め、綴りました。特に、INSの設立総会の状況を次のとおり記した。

呼称はあるものの規約も正式な名前もなく、しかも不定期に開催される会合が数年続き、参加者も多くなってきたことから、1992年3月に“岩手ネットワークシステム(Iwate Network System)=INS (アイ・エヌ・エス)”として正式に発足した。発足式には70名程が集まったが、セレモニーや講演もそこそこに飲み会へと急ぐ「I(いつも)N(飲んで)S(騒ぐ会)」らしい会合であった。

「裏」の組織としてのINS

INSの会員の活動ポリシー的なものとして「個人参加が原則」ですが、そこら新しい取組を進めていく流れを、東北大学の福島路准教授の「INSを“裏組織”と表現し、INSの中で盛り上がった議論を各参加者の所属する“表組織”で改めて検証し、意志決定を行って新規プロジェクトを立ち上げていく」との表現を借りて綴った。

 

INSの活動の紹介

INSの会員数、活動について、紹介しております。特に春に開催する総会を兼ねた春季講演会について、次のとおり記した。

毎年全国から200名ほどの会員が岩手大学の大講義室に集まり、総会及び産学官の関係機関からの発表・報告を受ける。その後、3〜4台の貸し切りバスを仕立てて市内の割烹に繰り出し、店を借り切っての交流会に突入することになる。交流会では講師など一部の出席者を除いて座席の指定はなく、年齢も職位も関係なしに同じ座卓を囲んで酒を酌み交わすこととなる。席を入れ替えつつ酒宴が3時間ほど続き、ようやく一次会が終了となり、懇親を深めた会員は二次会に繰り出すこととなる。

 

INSに魅せられた人たち

INSの肩書きに囚われない自由な活動に魅せられた人として、私自身の体験とKNS世話人の堂野智史氏について特出しして綴った。

 

岩手モデルの各地への波及

 INSが1990年代後半から徐々に注目され、2003年に産学官連携功労者表彰を受賞したことによりINSの活動が全国的に知られていく過程について綴っている。

「関西ネットワークシステム(KNS)」、「なかネットワークシステム(NNS)」、「やまなし産業情報交流ネットワーク(IIEN.Y)」、「(社)いわき産学官ネットワーク協会(ICSN)」など、全国各地に地域の実情に応じた産学官のコミュニティが誕生した様子についても記し、その結果として2007年9月8日に盛岡において「INS産学官連携第1回全国大会in岩手」が開催されたことについても言及した。また国外、特に韓国の江原道人間生命RIS研究会との連携についても触れた。

 

最後に

INSの今後の展開として、自戒とエールを送る意味を込めて、もう一度、ネクタイを外し、組織という裃を脱ぎ、自由に活動する、というINS本来の精神に立ち戻って、「誰でも、やりたいことを、できる範囲で、すぐやる」、「自分たちがやって楽しいことをやる」、「他人の活動を批判せず、できる範囲で支援する」、「活動に疲れたら休む」、「会への出入りは自由」というINSの精神をリフレッシュさせ、組織的対応や目標管理、外部評価など、今日の組織社会を覆っている様々なしがらみと無縁な新生INSとして肩肘張らない活動を行い、「いつか(I)、ノーベル賞(N)、をさらう会(S)」や「Inter National Network System」という呼称が定着することを期待したい、として結んだ。

詳細は、第1部第2章をお読みいただければ幸いです。

 

 

地方大学の産学連携と産学官民コミュニティ

 

今井潤(INS事務局、岩手大学地域連携推進センター准教授)

地域共同研究センターの拡充について

 岩手ネットワークシステム(INS)が平成4年に設立されたときの大きな目標の一つとして、地域共同研究センター設立が挙げられます。平成5年に地域共同研究センターが設立されましたが、その後も、INSと表裏一体になりながら、様々な方法で、その機能とスタッフを拡充してきました。件との人事交流、RSP事業コーディネータの受入、産学官連携コーディネータの獲得、市町村からの共同研究員の受入などを通して、様々な形態のリエゾン活動を実施しました。また、大学として他大学に先駆けて、管理法人業務を実施するなど、先進的な取り組みを進めました。

 

いわて産学連携推進協議会(リエゾン-I)

 全国的にも非常にユニークな、学金連携であるいわて産学連携推進協議会(リエゾン-I)について紹介しました。県内ほぼすべての研究機関と、ほぼすべての金融機関が同じプラットフォームの中で、研究シーズを県内民間中小企業等へ移転する取り組みを続けております。シーズとニーズのマッチングフェアの開催と共に、シーズ集もブラッシュアップされて、非常にすばらしい物が出来るようになりました。更に金融機関側の取り組みで、リエゾン-I育成資金という助成金を金融機関が共同して立ち上げ、今まで延べ40社以上に5000万円以上の助成金が提供されている。このような取り組みは全国的に見ても希有であると思われます。

 

MIUCafeの実施

 MIUとは、盛岡市産学官連携研究センターの略称Collabo MIUのMIUで、Morioka city & Iwate Universityを意味します。岩手大学工学部の敷地内に、盛岡市が建設したインキュベーション施設です。

 INSは、顔の見える広いネットワークがありますが、研究会以外に自由に意見交換できる場が、交流会以外にはありませんでした。イノベーション創出のため、誰でも気軽に参加出来て、いろんな話が出来るカフェを、平成20年8月より始め、約30回を実施しています。

 分野にこだわらず、様々な話題を取り上げ、リラックスした雰囲気で懇談できるように、机や椅子も工夫し、進行役もファシリテーションの勉強をしながら進めています。

 その中から、様々な新しい連携が生まれつつあります。

 

 第2部第2章の3において、これらの詳細な説明となぜそのような活動をおこなったのか、岩手大学の産学官連携をどうしていきたいかなどについて、書いてありますので、お読み頂ければ幸いです。

 

現場発! 産学官民連携の地域力

関西ネットワークシステム編

学芸出版社 2011年3月発行、四六判・240頁・本体2200円 ISBN978-4-7615-2504-0

 

目次 

はじめに     堂野智史(KNS世話人)
       
第1部 産学官民コミュニティの意義と展開  
  第1章 産学官民コミュニティとは  
    1 産学官民コミュニティの意義と 与那嶺 学
    2 産学官民連携政策と産学官民コミュニティ 吉田雅彦
    3 産学官民コミュニティ −日本とアメリカ− 西出徹雄
       
  第2章 産学官民コミュニティの全国的広がり  
    1 岩手ネットワークシステム(INS)の活動と岩手モデルの波及 小野寺純治
    2 関西ネットワークシステム(KNS)の発足と活動展開 堂野智史
    3 やまなし産業情報交流ネットワーク(iien.y)の発足と活動展開 手塚伸
       
第2部 産学官民コミュニティが生み出す新たな地域力  
  第1章「産」が生み出す地域力  
    1 地域中小企業の連携による新分野へチャレンジ 中川裕之
    2 地域を越えた大学とのネットワークがもたらしたもの 古芝義巳
    3 研究開発型中小企業と大学 三宅英雄
    4 超零細企業の新製品開発と公的機関とのかかわり 森本和洋
       
  第2章「学」が生み出す地域力  
    1 大学発ベンチャーの創出と人材育成 兼松泰男
    2 地域中小企業による人工衛星開発プロジェクトへの参加支援 千葉正克
    3 地方大学の産学連携と産学官民コミュニティ 今井潤
    4 文系産学連携を通じた人材育成と新産業創出への取組 小林淳
       
  第3章「官」が生み出す地域力  
    1 メディカルバレーの”キセキ”  高村康
    2 地域産業・市民と関わるインキュベーション施設 奥田三枝子
    3 地域資源の活用とコーディネート活動 樽谷昌彦
    4 地域経済の発展に貢献する情報拠点としての図書館 小林隆志
       
  第4章「民」が生み出す地域力  
    1 地域資源を活かした新商品開発の展開 稲葉輝彦
    2 異分野クリエイターのネットワークが生み出す価値と課題 杉山貴伸
    3 プログラミング言語"Ruby"を通じた地域産業振興 丹生晃隆
    4 大学による「市民の科学」への支援と地域活性化 伊藤真之
       
総括と展望−産学官民連携の地域力 稲垣京輔
      与那嶺学
       
おわりに       堂野智史

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